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花澤香菜が年上の女性を演じるのは『言の葉の庭』が初めてではない、という話

 現在公開中の映画『言の葉の庭』で、花澤香菜は27歳のヒロイン、ユキノを演じているのですが、これについて「年上の役を演じるのは初めて」としている記事をあちこちで見かける。なぜだろうと思っていたが、他ならぬ花澤香菜自身が、インタヴューでそう答えていたのですね。

オーディションでヒロインの役を手にしたという花澤の演じたユキノは27歳。「自分より年齢が上で、そんな役は初めてなんですが、どうしても演じてみたくて25歳以上というオーディションを特別にお願いして受けさせていただいたんです」と語りだす。当時23歳だったという花澤は、役を手にしたとき「決まってびっくりしました」と驚きを隠せない。(花澤香菜、『言の葉の庭』で実年齢よりも年上の役に初挑戦「この作品に出会えて幸せ」)

 舞台挨拶でも。

花澤は「私は今、24歳なんですが、27歳の役は初めて。色々と想像して演じた。舞台になったところを歩いたり、自分にできる限りのことをしようと思いアフレコに臨んだ」と役作りへの思いを告白。(新海誠監督、入野自由と花澤香菜に敬意「人生の深みを吹き込んでくれた」

 結論から言うと、これは間違いで、昨年放送された『機動戦士ガンダムAGE』では、それよりも年上の役を演じているのである。

機動戦士ガンダムAGE』全49話は、4部構成になっている。花澤香菜が演じたロマリー・ストーンは、第2部のヒロインで、第16話から第28話までレギュラーで登場する。劇中の年代は、第16話のナレーションとテロップでA.G.140年と特定される。ロマリーは、この時点では17歳である。第28話のエピローグでは、ロマリーと主人公アセム・アスノの結婚式が描かれる。ここではA.D.145年という設定なので、22歳になる。

 第3部のプロローグとなる第29話の冒頭では、ロマリーがキオ・アセムを出産するのだが、ナレーションで、誕生年はA.G.151年と示される。つまり、この時点でのロマリーは28歳であり、『言の葉の庭』のユキノよりも年上という事になる。さらに、第3部の本編は、キオが13歳に成長するところから始まるので、ロマリーは41歳になっている。ただし、第3部では、以後ラストの第39話まで、ロマリーの出番はない。

 第4部は、第3部からタイムラグなしに続いていく。第40話で、41歳になったロマリーが初めて登場し、キオやアセムとの再会シーンが描かれる。その後、最終回の第49話までロマリーの出番はなく、エピローグでは、時間が飛んでA.D.201年というのが『機動戦士ガンダムAGE』の構成になっている。

 まとめると、ロマリー・アスノは第3部と第4部では、それぞれ28歳と41歳であり、花澤香菜が演じた役としては最年長ということになる。ただし、どちらも冒頭のエピソードのみの登場であり、セリフも二言三言でしかないのですが。

 さらに補足すると、SF設定を加味するならば、彼女がいちばん時間を重ねた役というのは、実は初めてヒロインを演じた『ゼーガペイン』であったりする。演じていたカミナギ・リョーコは16歳で、当時の花澤香菜の実年齢18歳よりも年下なのだけど、とある理由によって、閉ざされた世界で同じ時間をループしており、これを外部の時間で換算すると40年以上が経過しているという設定だからである。まあ、ここまでくると、もはや「実年齢よりも大人の役を演じる難しさ」という話題とは、まったく関係がないのですけどね。ただ、『ゼーガペイン』でも、最終回で妊娠した役を演じていたりします。